オーストラリアのロードトリップ中、宿を探しながら旅をしていた時のこと。
翌日滞在する宿がなかなか見つからず、Airbnbで見つけた家に、前日の夜にもかかわらず予約のリクエストをした。
翌日の朝、リクエストが承認されて、ホストから連絡がきた。
「こんなに直前にリクエストが来るとは思っていなかった。
午後でよければいつでもおいで。うちは周りに何もなくて見つけづらいからGoogle mapにこうやってきいてみて、それでもわからなかったら電話してきてね。」
とりあえず宿が見つかって一安心。
Google mapに頼って何とかたどり着いた先は、何もない中にぽつんと建つ一軒家だった。
迎えてくれたホストはおじいちゃん。
早速キッチンやシャワールームの使い方などを説明してくれて、庭もあるから好きに使ってね、とおじいちゃん。
庭…というか大草原。見える範囲はすべておじいちゃんの土地なんだとか…。
持っていた食材を使って夕食の準備をして、庭にある池のほとりのテーブルでワインと夕食を楽しんだ。
おばあちゃんも帰ってきたようで、二人揃ってワインをもって私たちの夕食に参加。
自分の娘の話や日本についての質問に答えているうちに、空が明るくなってきた。
そう、オレンジ色に染まった空と、まぶしい限りの夕日がまさに地平線に沈む瞬間だった。
息をのむくらいの美しさ。
さえぎるものは何もなく、ただ赤く光っている太陽がどんどん小さくなっていった。
太陽が沈んだ後も空はオレンジ色と青色のコントラストが美しくて、次第に青色が濃くなっていった。
真っ暗になった後は数えきれないくらいの星が空いっぱいに広がっている。
そんなときおばあちゃんは私たちにこう言った。
「ココには何もないかもしれない。ただここには大切なおじいさんがいて、太陽が美しい、星が美しい、それだけなのよね。」
そんなおばあちゃんは幸せそうに見えた。
そう、幸せって、もっとシンプルなものなんだって思えた。