何故かことごとく運が悪い民泊フランス人男性ゲストJさんの話

民泊した話

一週間半程滞在していたフランス人男性ゲストJさんの話。

Jさんはバックパッカーで、もう2年ほど旅を続けているそうですが、

お金がなくなってきたのかとにかくケチでした。

宿泊代もディスカウントを求めてくるわ、日本のスーパーは高い高いと毎日文句を言うわ、

とにかく一心に節約に生きる人だったのですが、何故かいつも高いほうの

野菜を買って損をしてしまったり、使っていた髭剃りがすぐ壊れて

新しいものを買う羽目になったりと、何かにつけて運の悪い人でもありました。

出掛けるにしても徒歩圏内か自転車圏内のみ、どれだけ遠くても

決して電車は使わないという銭ゲバのような人だったのですが、

何故か京都の五山送り火だけは前々から楽しみにしていたらしく、珍しく朝から嬉々として出掛けて行きました。

うちから五山までは結構距離があり、そこに決して安くない

電車賃を出すということは本当に楽しみだったのでしょう。

その夜のこと。

Jさんは傍から見ても分かるぐらいへとへとに疲れ果てて帰宅。

聞くに、事の顛末はこうでした。

身動き取れないぐらいの人々に揉まれながら、送り火の着火を今か今かと待っていたJさん。

すると雨が降り始め、やがて豪雨に。

帰ろうにも人が多過ぎてなかなか進めず、雨に打たれて散々だったとのこと。

Jさん「折角の祭りも中止になるし、最悪だったよ。でもその前に散策した森はとても良かったよ!」

折角珍しく出掛けたのに運が悪いなぁと不憫に思う私の横でポジティブシンキングなJさん。

次の日。

昨日の京都での惨事がニュースになるのを何故か今か今かと楽しみに待っていて、事あるごとに聞いてくるJさん。

そんなのどうでもいいんだけどな~と思いながらもインターネットで調べてみると、衝撃の事実が発覚。

なんと、五山送り火は中止になどなっていなかったのです。

Jさん「ま、マジかよ!?」

私「うん、ここに書いてありますもん。豪雨の中開催!!だって」

Jさん「ファーーーーック!!」

私「そもそもなんで中止になったと思ったんですか?(最早笑いを堪え切れない私)」

Jさん「だって皆地下鉄に向かって帰ってたんだって!!あれじゃ誰でも中止だと思うって!!」

私「いや確かめましょうよ、Finish?とか簡単な単語で周りに聞きましょうよ」

Jさん「ファーーーーーーック!!」

思うに、Jさんは運が悪いというよりも詰めが甘いのです。

事前準備や情報収集を怠ったまま判断を誤り、自分の判断や意見が正しいと

信じて微塵も疑わず、結果損をしてしまうということなのですが、海外旅行でそれは命取りでしょう。

よくそれでバックパッカーを無事に続けてこれたなぁこの人・・・と

半ば呆れながらも感心したのですが、そう考えれば実はJさんは運が良いのかもしれません・・・